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大好きなものは、じぶんで作る。洋裁の基本。

あなたは、運命の一着に出会ったことがありますか? 身にまとう洋服にはこだわりたいもの。その洋服を「イチから作る」という選択肢もあるはずですよね。そんな洋裁の始め方、基本のポイントを探ります。

洋裁をする、というのはハードルが高いと思われがちですが、地域のコミュニティセンターで講座が開かれていたり、ハンドメイド需要の高まりでソーイングブックなども多数出版されたりしています。必要なものは、家庭科の授業で習うようなミシンや裁縫道具一式と、ほんの少しの冒険心です。

ソーイングの手順としては、まず作りたいものを決めて、着る人の採寸をすることから始まります。袖丈、着丈、スカートの長さ、肩幅、首回り……希望通りの品になるように、細かくサイズを決めます。その際に「ゆるみ」といって、余裕をもたせるのがコツです。腕の可動域に合わせておかないと、腕を上げられなかったり、頭が入らなかったりなどしてしまうので、注意が必要です。
続いて布地選び。柄だけでなく、通気性や吸湿性、お洗濯のしやすさ(シワになりにくい素材)なども考慮して選ぶと良いでしょう。
基本的には断って縫う……というのがこのあとの作業なのですが、個人的な経験で言えば「今日のノルマはここまで」と終わりを決めたほうがいいです。そうしないとズルズル続けてしまって、深夜にミシンをかける羽目になります。布を既定のサイズに断ち、中表(※内側が表面)になるように合わせて、端っこを縫い留めていけば、基本的には完成します。

(出典: http://www.earth-to-wear.com/clothes/earth_to_bag1.html )

 

ソーイングについて、よくわからないけれど始めたい! という方に向けて、持っていて良かったアイテムを紹介します。
まずは「ハトロン紙」と「チャコピー」と「ルレット」。裁縫道具屋さん(オカダヤとかユザワヤとか)で聞いてみてください。

https://www.yuzawaya.co.jp/online/

https://www.okadaya.co.jp/shop/c/c10/

(出典: https://book.nunocoto-fabric.com/10671 )

ハトロン紙は、ソーイングブックに付録として付いているパターン図(型紙)を鉛筆で写し取るときに使う薄い紙のこと。型紙ごと切るわけではありません。チャコピーとルレットは、ハトロン紙で写し取った型紙を布に転写するのに使います。チャコピーを敷いて、その上にハトロン紙を置き、それからルレットでなぞると、点々と跡がつくのです。これがあると、転写作業が大幅に楽になるので、余裕があれば買っておきたいグッズです。
糸も、ミシン用はいろいろな色があるので、ステッチとして目立たせるか、レースなどで飾って隠すかによって基本の色を選ぶと良いですね。
縫い合わせる際は、作っているものが大きいときほど「全体像が今どうなっているか」に注意しながら、慎重に縫っていくことをオススメします。縫い代(先ほどのゆるみ以外に、縫うための余白を作っておきます)からはみ出ていないか、確認しながら進められるときれいに仕上がりますよ。

私が洋裁を始めたのは、我が家にぬいぐるみが増えて、何か着せてあげたいと思ったことがきっかけでした。いわゆる「ドール服製作」というやつです。そんな我が家のぬいぐるみちゃんに着せた珠玉の写真をご紹介。


あるときは端切れでストールを、あるときはズボンを、あるときはアロハシャツを……といろいろなものを作ってきましたが、製作する喜びは常に「カワイイ」という気持ちと共にありました。愛するぬいぐるみちゃんには私が手作りしたお洋服を着てもらいたい。着せて一緒にお出かけしたい。ただその一心で縫い続けてきました。
たまに人間サイズのものも製作します。スカートを縫ったり、ワンピースを作ったり……こちらもいろいろやりましたが、布を断つのに1日がかりということもあるので、あまり多くは製作できないのが実情です。でも、着たときに「自分に似合う布地」で「自分の好きな型」で、しかも「寸法がぴったりに合う」服ってそうそうないと思うのです。人生でそんな服に出会ったケースは稀です。プラスサイズ気味の私にとっては、着たいものを自分で作ることでお洋服選びの自由を勝ち取ったということが大きいと思います。

お洋服を買うのもコストがかかりますが、自分で縫うのもかなりの労力とお金がかかります。ハンドメイドのお洋服、オーダーメイドのお仕立てをしたことがある方はわかるかとは思いますが、相当にお金のかかる趣味なのです、洋裁って。でも、挑戦した先に上達という喜びが待っているのは、どの趣味にも共通することですよね。その「頑張った努力」が目に見える形で還元されるのは、布小物とか衣類だと勝手に私は思っています。
私の最近のヒット作はこれなのですが、着られなくなったスカートを使って大きめの巾着バッグに仕立てました。飾りつけも自分でやって、なんだか達成感があって嬉しくなったり、スカートももったいないことにならずに済んだとお財布や環境に優しくなれたり、縫って良かったと思っています。お金はかかってもその投資に見合うだけの「挑戦してみる価値」はあるのが、洋裁なのです。

洋裁との上手な付き合い方として、「入れ込みすぎない」ということがあります。どんな趣味もそうですが、それに傾倒しすぎると、視野が狭くなって、ああ私はあれしかできないとか周りと比較してしまうこともあります。それをなくすために、趣味は多い方がいい、ということです。ひとつのことで行き詰まってしまっても、別のことで気分をリセットする、そういうものが本来は趣味のはずです。そのため、趣味で誰かと比較するとか落ち込むとかというのは(それはもう大変多く経験することですが)ナンセンスだと思うのです。自分が満足すればそれでいい、そんな強い気持ちを持って挑戦する。極めるも良し、ゆるく続けるも良し、とにかく楽しんじゃえ! という楽観的な考え方で挑戦してみてほしいです。
作品を生み出して、誰かに評価されたら嬉しいけれど、その作品を一番に愛しているのは自分なのだという思いを捨てずに、今日もミシンをかけるのです。

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