帽子職人の仕事
日本の帽子職人は、どのようにして帽子を作っているのでしょう。
明治時代の昔、帽子を制作するのに使う帽子木型(ぼうしきがた)は「棒屋」(ぼうや)と呼ばれる、農耕具の柄などを作る木工職人が作っていました。
木型をカンナで削り、理想的な帽子の型を作っていくのです。
時代の移りかわりとともに帽子木型は金型(かながた)などにとって代わり、木型から帽子づくりをしているメーカーも少なくなりました。
現代においては日本国内で帽子木型を作っている木工職人も少なくなり、全国で4人ともいわれています。
それでは、帽子職人の手による、現代において主流の方法の帽子制作とは、どのように行われているのでしょうか?
ここでは布製の帽子制作について、帽子職人の仕事を見てみましょう。
まずは帽子制作にあたって企画が行われます。
トレンドなども考慮しながら、帽子の形と、帽子に使用する布の生地を決定します。あるメーカーでは70種類以上もある帽子の型のなかからどれにするのかを決めるとのこと。帽子の種類の多彩さにはびっくりですね。
いままでにない形の帽子を作る場合は、アパレルCADシステムで型紙を制作してから作り始めます。
納得のいくよい帽子の形を追求して何度もサンプルづくりを繰り返し、型紙を少しずつ少しずつ修正しながら商品となる理想の帽子を作っていくのだそうです。
現代の帽子づくりの最前線の帽子職人の方々のこだわりがうかがえます。
型紙ができたら、その型紙を金型(抜き型)にします。布地に金型を置き、プレスして布地を型紙の形通りに裁断します。
メーカーや製法によっては金型での裁断ではなくはさみを使い手作業で裁断を行うこともあるとのこと。
型紙通りに布地が裁断できたら、布の表地に芯地(帽子の芯)を貼っていきます。それぞれの製法によっては、裁断する前に布の生地に芯地を貼っておくメーカーもあるということです。
その後は縫製していく作業に入ります。
裁断した布の生地のパーツをひとつずつ縫い合わせ、帽子の形に組み立てます。縫製のすべての工程が終わったら、余分な糸を細かく始末して仕上げます。
終わりに「型入れ」と言われる作業を行います。帽子の形をピシッと美しく仕上げるために型に入れて帽子を整える工程になります。
ここが帽子づくりの最後の勝負のしどころです。
型入れの技術次第で、ここまでをうまく作り上げてきた完成間近の帽子も形が崩れて失敗してしまうので、よりよい形に整えるために熟練の帽子職人の高度なテクニックが必要だということです。
美しいシルエットに仕上がったら、帽子の完成です!
すべての工程は帽子づくりに長く従事した帽子職人の手で行われます。
熟練の帽子職人さんの仕事に対する実直でアツいこだわりが、私たちが店で出会う運命の帽子をつくっている、というわけなのですね。
日本の帽子メーカー・海外の帽子メーカー
最後に、日本の帽子メーカーと海外の帽子メーカーをご紹介します。
どちらも帽子好きや帽子通は絶対にすでに知っている超有名な定番ブランド。
でも帽子の初心者ほど、まずはファッション性に優れた定番の良品にふれてもらいたいという思いからここにご紹介します。初心者にはまずここのものならば間違いなしとおすすめできる自信もあるからです。
日本メーカー
カシラCA4LA https://www.ca4la.com/
1997年に設立された日本の帽子ブランド。
ファッションモデルや俳優・女優など、日本のファッションリーダーはカシラの帽子が大好き。高品質でハイセンス、トレンド感たっぷり、それでいてクラシックでレトロな感じもある個性的なカシラの帽子は他メーカーの追随を許さないほどの人気ぶり。
価格帯は5,000円~50,000円と幅広く、男女ともに多くの種類の帽子がラインナップされています。
日本の帽子初心者はまずカシラをチェックしましょう。
海外メーカー
ボルサリーノ https://japan.borsalino.com/ (日本語サイト)
1857年、イタリア北部の街・アレッサンドリアに創立者のジュゼッペ・ボルサリーノが工房を作って始まったブランド。
言わずと知れた世界的に超有名な帽子ブランドです。往年のハリウッドスターのアラン・ドロン主演の「ボルサリーノ」という、ブランド名を冠した映画もあるほど。
有名なボルサリーノといえばこの形!という定番商品の帽子ももちろん、ニット帽やボーラーハットなど、イタリア風の大胆なデザインを存分に楽しめる帽子ブランドです。古典的で正統派の帽子でありながら、目を奪うほどのカッコよさはさすがボルサリーノ!と言いたくなります。
あなたにも運命の帽子がある
まだ運命の帽子に出会っていないあなたも、もうすでに、ぴったり自分に似合って、自分を素敵に見せてくれる運命の帽子を持っているあなたも、ここまで読めば帽子の魅力が再発見できたのではないでしょうか。
帽子の魅力は無限大。かぶり方ひとつとってもいろんな表情を見せてくれます。
ルールにとらわれすぎずに、いろんな洋服と手持ちの帽子を合わせてみるのもおすすめ。まだ運命の帽子に出会っていないなら、春夏秋冬、足しげくアパレルショップや街の帽子屋さんに通って、とにかくたくさんの帽子を試着させてもらいましょう。
冒頭のハリウッドスターのように、どんなに容姿に恵まれていてカッコいい男性だったとしても、「自分にはなかなか似合う帽子がないもんだな~」なんて思っていたりするもの。
女性も男性も、老いも若きも、よい帽子をかぶっていままでとは違う自分を発見しましょう。
お店の鏡の中のあなたが、いままでよりちょっとカッコよく、素敵に見えるような帽子を試着したら、すぐに運命の帽子だと気がつくはずです!