今では百円ショップでも購入可能な「ガラス絵の具」。それって何? という方も、使ってみたいけれど、どうしたらいいかわからない……という方にも、楽しんでいただけること間違いなし。今回はその活用法と魅力についてご紹介します。
ガラス絵の具とは、学校の美術の時間に使用する水彩絵の具やアクリルガッシュ(アクリル絵の具)とは違い、粘度の高い着彩用絵の具のことです。乾くと色を残したまま透明になって、ステンドグラス風の作品を生み出せることが最大の特徴なのです。DIYをしている人や、ハンドメイドをしている人たちの間で数年前から流行しており、百円ショップでも購入できるようになりました。ターナーなどの絵の具の専門店も開発・販売に乗り出しています。使用上の注意としては、乾くまでに時間がかかることと、乾燥した後にこすると描いた絵の具部分がはがれてしまうこと。水に溶くことはできません。だから直接ノズルから絞り出して、描きたいものに色を乗せます。私はダイソーのものを使っていますが、着彩してから乾燥させた後に、想像していたのとは色が違う! ということもざらにあるので、そこだけ注意してください。ダイソーはパステルカラーも充実していますが、透明になりにくい印象です。人気商品なので店頭に並んでいないことも……通販で手に入れるのが一番手軽です。
ガラス絵の具で絵を描くときは、まず土台になるもの(ガラスに貼るシートなど)に、黒のガラス絵の具で描きたい図柄の縁取りをすることが始まりです。ポイントとしては、細いところはつまようじなどで伸ばして、シートの下に敷いた下絵をていねいになぞることが大事です。それが乾燥するまでにだいたい1~2時間かかります。そのあと、図柄に合わせて思い思いに着彩していきます。本物のステンドグラスのように、隣り合う色を変えるも良し、同じ色で固めても良し。想像のままに描いていきましょう。
フェイクスイーツ(スイーツデコ)などの材料である樹脂粘土に使うときは、粘土が完全に固まってから接着剤に絵の具を混ぜてコーティングすることもあります。これをすると、溶けている質感やタレなどを表現することができます。ガラス絵の具を使うと、薄く塗っておけばそんなに絵の具の質感が残らず色だけ残って透明になるので、粘土の凹凸も出せるのでおすすめです。
(出典: https://nukumore.jp/articles/2762 )
前述したステンドグラス風の加工として、こちらも立体感を出したい場合は、8時間くらいかけて着彩したすべてのガラス絵の具を乾燥させた後、UVレジン液をひとつの枠に対して1~2滴たらしてライトで固めます。こうするとぷっくりとして宝石のような輝きになりますよ。UVレジン・ライトも百円ショップで購入できるので、これを機に挑戦してみてはいかがでしょうか。
ガラス絵の具を使って、私はこんな作品を作ってみました。黄色の絵の具をアクセントに、レジンで固めたバラの花をブローチに仕立てました。実はこのブローチにはもうひとつの双子ちゃんがいて、それは一緒にお出かけしてくれる友人のもとにあります。これを着けて、ふたりでおそろいの服を着てお出かけしたいね、って話をしたのが昨日のことのように思い出されます。私にとってハンドメイドは、「自分のために作る」という側面もあるけれど、「誰かのために作る」ということも楽しみのひとつなのです。こうして手元にある作品にも、ひとつの物語があって、それは交換不可能な「唯一無二」のもの。どんな作品にも思い出があるので、ちゃんと作品には愛されるだけの理由と価値があると、私は信じています。そう思うと、製作にも意欲や情熱、プライドみたいなものが生まれてきて、自分の作品に愛着がわいて、そのまま誰かの手元で愛されることを願って……なんてことを作るたびに思います。それが私の考えるハンドメイドの楽しさですね。
(出典: https://kinarino.jp/ )
自分で作ったアート作品は、窓や壁に貼ったり額装したりして飾ると、お部屋の中も明るくなりますよ。ちょっと歪んでいたり、はみだしていたりしたほうが、既製品よりも味があって何となく気に入ってしまうこともあるかも。私のように、愛情のこもったプレゼントとして誰かに贈ってもいいかもしれません。買うと消費するまで時間があるので、少しずつ上達するためのモチベーションアップにもなります。別に飾る用だけではなく、私のように身に着けられる作品にしても、そばに置いておける、持ち歩けるといった別の楽しみ方があります。世界にひとつだけのあなたの作品を、どんどん生み出してみてください。
アーティスティックな作品は、別に「アーティスト」だから作り出されるわけではありません。つくられた作品の中に、ひとつでも魅力を見出すことができれば、素人でも名作を生み出すことができます。要は気の持ちよう、と言ってしまえばそれで片付いてしまいますが、これも大事なこと。コロナ禍でおうち時間が増えたことも理由の一つとしてあると言われていますが、ひとつの作品が「生み出される過程にこそ魅力がある」と感じる人が増えたことが、昨今のハンドメイドブームに火をつけた、あるいはブームを加速させたのではないかと考えています。
ハンドメイドに正解はありません。何が正しいとか、うまいとか、魅力があるだとか、尺度は己で決めるしかないのです。実際に私は製作をしますが、気に入らない作品になることもままあります。それでも、なぜハンドメイドをするのかって、そこにハンドメイドをする理由が無くても「楽しいから」。それでいいと思うし、そういう「楽しさ」を大事にできる人生って、きっと何物にも代えられない豊かさがあると思えます。
もちろんハンドメイドにはお金がかかるし、すぐにはお金にならないです。でも、挑んだ者だけに見える景色がある。それは確かに存在する。アーティストになれなくても、芸術を享受する自由があるように、上手くなくても製作を続ける、製作をやめない自由もあります。極論すると、楽しければそれでいいのです! 今回はガラス絵の具を中心に、ハンドメイドの魅力を語ってみました。あなたも自分の世界を彩るハンドメイドのモザイクアートを作ってみませんか?