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夏の夜空を彩る、花火と花火師の全貌に迫る!①花火の種類と歴史

夏の風物詩と聞けば「花火」を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

この記事を読んでいただいている方の中でも、夏の夜空に輝く花火を心待ちにしている方も多いと思います。

毎年、全国各地で開催される花火大会も昨今のコロナウイルスの影響で残念ながら中止になってしまったところも多く、肩を落とされていたかもしれません。

しかし、花火大会でなくても、今は家庭用の手持ち花火などがコンビニやスーパー、ホームセンターや100円ショップでも売られ手軽に楽しむことができます。

そんな身近にある花火について、皆さんはどれだけのことを知っていますか?

本記事では日本の伝統的な花火の文化や歴史、意外と知らない花火の種類についてご紹介します。

花火の文化と歴史

まず初めに、花火の歴史と文化について触れていきましょう。

そもそも花火の始まりは、中国の秦の始皇帝の時代で万里の長城に掲げた「狼煙(のろし)」だと言われています。この狼煙で使用された硝石から熱を加えることで強く燃えたり、煙を出したりする「火薬」が偶然にも発明されました。その後、火薬は武器として使用されるようになり、爆竹などの花火として発達していきました。

十三世紀には中国で発明された火薬や花火が商人を通じてイスラム諸国に伝わり後に、ヨーロッパへと伝わりました。現在のような見て楽しむ花火は十四世紀後半にイタリアのフィレンツェで始まりまったとされており、祝祭の際に打ち上げられるようになりました。

そこから日本に火薬が伝わったのは1543年、ポルトガル人が漂着した時に使用した鉄砲の部品であったと言われています。その後、火薬は狼煙や火砲などの武器として使用されていました。花火が武器ではなく、鑑賞されるようになったのは江戸時代です。1613年に徳川家康が中国人によって打ち上げられた花火を見たことがきっかけで将軍や大名の間で花火が流行します。ところが、最近になって徳川家康より24年前(1589年)に伊達正宗が花火を楽しんだという記録や、ポルトガルの宣教師が花火を打上げていたという話もあるようです。

日本で花火大会が始まったのは1733年の隅田川花火大会です。このときに花火を打ち上げたのは、日本最古の花火業者である鍵屋で、玩具花火を売り出し、繁盛していたといいます。

その後、1808年には鍵屋の番頭が独立して始めたのが玉屋です。これ以降、鍵屋と玉屋がライバル関係となり競い合うことで発展していきました。 しかし、江戸庶民が見ていた花火は、現在のような色鮮やかな花火ではなく、白っぽい花火でした。色鮮やかな花火が登場するのは大正時代になってからで、現在では炭酸ストロンチウム(赤)や硝酸バリウム(緑)、タンサンカルシウム(黄)、酸化銅(青)などを組み合わせることで、さらに華やかな花火が生み出され続けています。

花火にはこれだけの種類がある!

続いて、花火の種類についてみていきましょう。

音と光で多くの人を魅了する花火ですが、皆さんはどのくらいの種類をご存じでしょうか。 花火大会で目にできるものや身近に楽しめるものなど、その種類はたくさんあります。そんな花火の種類を「打ち上げ花火」、「仕掛け花火」、「玩具(おもちゃ)花火」の3種類に分け、それぞれについてご紹介していきます。

打ち上げ花火

花火の主役といえば、やっぱり打ち上げ花火です。 そもそも打ち上げ花火とは、火薬を球状にした「星」と呼ばれるものを、「玉」という紙製の球体に詰めて打ち上げる種類の花火のことです。この打ち上げ花火には玉の構造によって「割物(わりもの)」と「ポカ物」の2種類に分けることができます。

「割物」は、玉が破裂する際に星が球形に飛び散る花火です。日本の伝統的な打ち上げ花火はこの割物に該当します。割物の場合、強い火薬に「割火薬」が使われており、割火薬に火をつけると玉が破裂して四方八方に星を飛ばすことができます。

「ポカ物」は、玉が上空でポカっとくす玉のように割れ、中に詰められた星や細工を放出する花火です。ポカ物の中には不思議な動きをする花火や星にパラシュートのようなものをつけて空からゆっくり落ちるような花火もあります。

今回は打ち上げ花火の中でも代表的な7種類の花火をご紹介します。

引用:HONDA Kids

菊(割物)

割物花火といえば「菊」といわれ、古くからある日本の代表的な花火です。菊花火は玉が割れた後、菊の花びらのように多数の星が地上まで垂れ下がるように尾を引いて放射状に飛び散るのが特徴です。

牡丹(割物)

「牡丹(ぼたん)」は、菊と並んで日本を代表する花火です。菊と同様に大きな円形で開きますが、尾を引かず点のまま広がっていく牡丹のような花を咲かせるのが特徴です。尾を引くための火薬層がないため、尾を引くことがないのです。

型物(割物)

「型物(かたもの)」は、割物花火の応用型で、光の点や線によってハートやニコニコマークやキャラクター、蝶やリボンなどが描かれる花火です。文字を描くこともでき、夜空にメッセージを浮かび上がらせることもできます。型物花火は平面で開くため、真横など角度によっては形が把握できず、ただの線にしか見えないことがあります。

柳(ポカ物)

「柳」は、夜空でポカっと割れた玉から、柳の枝が垂れ下がっているかのように光が落ちてくるのが特徴です。最近では色のついた「彩色柳」と呼ばれる柳があり、落ちる時に色が変化する花火もあります。

蜂(ポカ物)

「蜂」は、玉が割れた時に火花が飛び散らず、まとまった状態で四方八方に動くのが特徴です。玉が上空で割れた時に、火薬を詰めた紙の筒などがシュルシュルと回転しながら、不規則に飛び回り、その様子が蜂のようであることから、この名前が付けられました。

飛遊星(ポカ物)

「飛遊星(ひゆうせい)」は、玉が割れた時に火花が不規則な動きをする花火です。蜂に似ていますが、飛遊星は色の出る火薬を使用しており、動きは直線的でまるで流れ星のように飛び回ります。

仕掛け花火

引用:HONDA Kids

花火大会の目玉はやはり仕掛け花火です。

仕掛け花火は、夜空に文字やイラストなどが浮かび上げ、趣向を凝らした様々な仕掛けによって花火を演出し、圧倒的な迫力で観客を魅了します。

職人の遊び心とアイデアが詰まった仕掛け花火は、たくさんの種類がありますが、今回は代表的な2種類の仕掛け花火を紹介したいと思います。

ナイアガラ

「ナイアガラ」は、多くの花火大会でとても人気の高い仕掛け花火です。 火薬を詰めた「ランス」と呼ばれる細い筒を、たくさんのワイヤーに吊るして一斉に点火する花火です。世界三大滝の1つである「ナイアガラの滝」がモチーフになっており、滝のようにさらさらと流れる火花や、水面に花火が反射することで、別世界のような空間が演出されます。

水中花火・水上花火

「水中花火・水上花火」は、海や湖などが近くにある花火大会でよく打ち上げられます。

水中花火は、高く打ち上げられる花火とは違い、水面に半円状に開花し、水面に花火が反射することで一味違う花火の美しさを感じられます。ボートなどの上で点火した花火を、水中に投げ込み水中から打ち上げる花火です。花火には燃焼材が入っているため、水の中でも消えることはありません。

水上花火は、水中花火とは違い、あらかじめ船やいかだに準備しておいた花火を遠隔操作で点火します。水上で打ち上げるため水の抵抗を受けることなく、水中花火以上に美しい半円を描くことができます。

玩具花火

家庭用で使われる、スーパーやコンビニ等で売られる花火のことを「玩具花火」といいます。

玩具花火には手持ち花火、線香花火、ねずみ花火、吹き出し花火、蛇花火、ロケット花火、パラシュート花火などたくさんの種類があります。
家族や友人、恋人などと一緒に楽しんだことのある人も多いのではないでしょうか。手軽に買える玩具花火は古くから多くの子どもから大人までに親しまれており、今では煙が少なく写真映えしやすい花火もたくさんあります。

まとめ(最後に)

いかかでしたか?

今回は日本の伝統的な花火の文化や歴史、意外と知らない花火の種類についてご紹介しました。

花火は夏の風物詩としてなにげなく楽しんでいた人もたくさんいると思いますが、一言で花火といってもその種類は様々です。

これから花火大会に行った際には、「今の花火の種類は何かな?」なんて考えながら見ると、より一層花火を楽しむことができるのではないでしょうか。花火の美しさに魅了されるだけでなく種類や言え方にも注目してみてはいかがでしょうか。

また、一緒に花火を楽しむ家族や友達、恋人にもちょっとした知識として自慢ができるかもしれませんね。

この記事で花火のことに興味を持ち、今までと違った視点でさらに花火を楽しんでいただけたら幸いです。


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