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一冊絶対欲しくなる。手製本ノートについて。

手製本ノート。それは汗と涙の結晶です。

ということで、私の愛用する手製本ノートについて書いていきます。こちらの「逸品見つけた!」の記事も参考にしてくださいね。

手になじむ使い心地。手製本ハードカバーノート。

ノートの作り方と使う時の注意点

そもそもノートってどうやって作るの? と思う方もいらっしゃるかと思いますので、ざっくりと作り方をご説明します。手製本のノートの作り方は、こんな感じ。
①ページを固定する
②ページを糊付けする
③小口を切り、整える
④表紙・背表紙を作る
⑤しおり(スピン)を付ける
(出典:http://tojisuke.trylife.jp/how-to-use-tojisuke/make-a-bool-by-hotmelt/)

まずはノートの部位の説明から。私たちが普段めくっている場所が「小口」、反対側が「背」です。本と同じですね。横書きの場合は左から右にページを繰り、縦書きの場合は逆になります。これは視認性の問題で(縦と横で芽の動かし方が違うのです。横書きの文字は左から右へ動かしますが、縦書きは右から左へ行をまたぎます)そうなっているのです。最近は横書きの本も増えてきたので、読むときも意識してめくると面白いかも。しおりのことは専門用語で「スピン」といいます。文庫本などについているアレもスピンです。

木枠でノート本体のページを揃え、背を糊付けします。そして小口をカットして、背にシートを貼って完成です。字面で見ると簡単そうですが、繊細な作業なのでページ数が多くなるほど気を使います。ハードカバーのノートになるとなおさら大変で、背を固定した後に別で表紙・背表紙・裏表紙をそれぞれ一枚のボール紙から作らなければならないのです。使いやすいように折り目を付けて、表紙に布や紙を貼り付けて、全体を接合して……やっと完成です。ハンドメイドでハードカバーのノートを製作されている方もいらっしゃいますが、それは途方もない努力によって完成されているのです。ありがたや。ちなみに、いにしえの同人誌の作り方もこの手製本です。歴史を感じますね……。和綴じになるとまた別の工程が必要になりますが、だいたいの流れは同じです。

愛するノートを長く使うためには、普段の使い方にも注意が必要です。表紙・背表紙に折り目がついていない場合は先に折り目をつけ、中心部分を開いてページが開くようにならしておくと、使い心地もぐんと上がりますよ。

オススメの使い方

手製本のノートは、値段が高いからなかなか手が出せないという方もいらっしゃるかもしれません。その値段に見合う使い方ができるだろうか……と、尻込みしてしまうこともあるかも。大丈夫です、私もその一人でした。でも「ノートを買う」という形から入って、さて何を書こう、何に使おうと悩むのもひとつの楽しみであり、目的意識を生むきっかけにもなるので、ご自身で試行錯誤するのも大事なことです。

使い方は無限大ですが、私は仕事のネタ帳や反省ノート、美術館での鑑賞ノートにするなどして、常時10冊以上並行して使用しています。ハードカバーのノートは書き心地に優れており、何より表紙と背表紙が立って書くのに便利な硬さなので、美術館の記録ノートにはもってこいなのです。また、ページ数が多いものは日記帳にするのもかなりオススメの使い方です。毎日の出来事を、1日1ページ、ちょっとずつ書いていく。心のなかのわだかまりもするっとほどけていくような感覚があると思います。それこそがノートを使う本当の意味。ノートを使えばなんとなく安心する、という心のよりどころになってくれるのです。

優れたデザイン性

私が使っているハードカバーのノートは「テルコ雑貨店」さんのものがほとんど。テルコ雑貨店さんについては「逸品見つけた!」のほうで紹介しているので割愛しますが、カバーの美しさと8mm罫線の使い勝手の良さにとても惹かれています。

表紙の色合い、生地の手触り、なめらかな書き心地と特大ボリューム。ノートを愛しこれでもかと使う私には、非常にありがたい存在です。布地と紙の手触りを確かめながら、何を書こうか想像するのも楽しい時間です。

機能性と美の両立はできるか、ということを常々考えているのですが、広義のデザイン性は「美」のほうにパラメーターを振りすぎているのかもしれない、とも思うのです。しかし、このテルコ雑貨店さんのハードカバーのノートを見ていると「機能性と美の両立は、デザイン性のバランスによって生まれる」と感じるのです。Designという単語は、もともと「翻訳する」という意味を持っていました。何か新しいものを生み出すときに、美しさと機能性を伝えるために「翻訳」する。我々にわかりやすいかたちで「翻訳」する。それが本当のDesignなのだと強く感じるようになりました。私もハンドメイドをするのでわかりますが、美しいだけでは売れないのです。きれいなだけでは意味がない。使い勝手がよくて、日常で使えて、それでやっとはじめて手に取ってもらえるのです。それが作品製作の妙味であり、何より難しい部分でもあります。それでもそれを乗り越えて製作された逸品は、本当に「味がある」のです。触れた時、使った時にその味わいに癒されること間違いなし、そんな逸品を作り出すのがクリエイターという存在なのです。

おわりに

今までの内容をざっくりとまとめます。

手製本のノートはただでさえ繊細な作業なのに、それを仕事として実際に製作して販売されている方がいらっしゃるということ。そして、それは並々ならぬ努力によって完成に至っている、いわば至高の逸品であるということ。

新しいノートに何を書くかは自分次第、それを探すこともひとつの楽しみであり、探すことによって自分と向き合えるということ。それは、ノートを長く、愛して使っていくことにも繋がるということ。買って無駄にしない、使って意味があるということ。

デザイン性、という観点でみると、美しいだけでは売れないこと。美しさと機能性は両立し得ること、そして両立した先に本当のDesign(=翻訳)の意味が見えてくるということ。様々な努力によって、多くの作家様が美しくて普段使いできるものを生み出してくれているということ。

たくさん書いてきましたが、私が伝えたいのはこれらです。手製本だから、ハードカバーのノートだからいい、ということではなく、「良いものにはそれなりの理由がある」ということをお伝えするために、こうして筆を執りました。楽しいこと、苦しいこと、人生ではいろいろあるけれど、それらをすべてひっくるめて受け止めてくれる癒しの存在に、ノートがなってくれるんだよ、ということでひとつ。皆様の良きノート活用ライフが訪れることを祈っております。

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