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日本のものづくりデザイナー10~ジュエリーデザイナー・岡本 菜穂(おかもと なほ)

自由な発想と既成概念にとらわれない素材、ジュエリーのイメージを変えたデザイナー


岡本菜穂氏 参照:https://nostos.jp/archives/273252

岡本菜穂氏は、1981年東京の生まれです。ジュエリーブランド「SIRI SIRI」の代表であり、デザイナーでもあります。同ブランドのジュエリーはガラスや藤など、既成概念にとらわれること無く、意外性のあるマテリアルを使用していることが特徴。今回は、ジュエリーイコール金属というイメージを払拭するデザイナー、岡本氏のジュエリーに掛ける思いなどをご紹介していきます。

ジャンルを問わず「ものづくり」に熱中した少女時代


参照:https://nostos.jp/archives/273252

岡本氏の父親は建築家であり、飛行機の整備士をしていたこともあるという、ものづくりのエキスパートでした。岡本氏は
その父親と子供の頃からさまざまな体験をしてきました。一緒に何かを作ることが大好きだったと言い、ハンダごてを片手に電子基板を組み立てたり、飛行機の模型を作ったりといったリアルなものづくりも体験しています。
また、一方では、姉の影響で海外の古着屋などにも興味を持ち、そのテキスタイルや生地の質感、デザインなどに興味を惹かれていました。このジャンルを問わない「ものづくり」への興味こそ、のちの自由闊達な発想の根幹になっているのかもしれません。

ジュエリー製作は金属アレルギーがきっかけだった


参照:https://sirisiri.jp/products/mola-mola-necklace-bracelet-bubble

ものづくりやデザインなどを志した岡本氏は、桑沢デザイン研究所でスペースデザイン科を卒業してインテリアの仕事に就きます。働きながら、趣味としてアンティーク・ジュエリーに興味を持ち始めたのですが、そこで、岡本氏は自分が金属アレルギーだということを知ります。気に入った金属製のジュエリーや時計が身につけられないことに最初は嘆いていたのですが、発想を転換、「なければ作れば良い」と思い立ち、自分で身につけるジュエリーを製作しはじめたのがジュエリーブランド「SIRI SIRI」の始まりでした。
金属類は使用せずに、自由な発想でマテリアルを選択。ガラス切子のバングルやピアス、籐のバングルといった個性的なアクセサリーを生み出していったのです。

伝統工芸の技術で製作するジュエリー


参照:https://sirisiri.jp/products/raden-penant-folding-heart

岡本氏がデザインしたジュエリーやアクセサリーは、マテリアルを厳選して、工芸品を製作する工房へ製作を依頼しています。良い物を手間を掛けて少数生産する。このことは、サスティナブル社会を実現することにも寄与しています。

伝統工芸を活用する


参照:https://sirisiri.jp/collections/bag

「SIRI SIRI」の製品には、江戸切子や螺鈿細工など、日本の伝統的な工芸技術が多く取り入れられています。これは、それぞれの職人さんに直に依頼をしたもの。
「インテリアの仕事をするなかで、家も家具も、伝統的な技術や美意識によって支えられていることを実感してきました。『長く大切に使い続けられるものを』という“ものづくり”の視点に立った価値観。それが自分の根底にあるんです。さらに、昔、テレビで見た日本の伝統工芸の継承者が年々減り、多くの伝統技術は消えつつあるという現実。それらがあいまって、手間暇かけて生み出す伝統技術を自分の作品にも宿したいと考えるようになったのです」と、伝統技術を大切に思う気持ちを語ります。
また、生み出される作品は少数生産の手作り品。技術とともに受け継がれてきた日本ならではの美意識が宿る工芸は、流行や季節にとらわれないため、長く使用できます。それは、日本の技術が生み出した、サスティナブルな作品とも言えるでしょう。

サスティナブルな素材でインテリア製品も


参照:https://sirisiri.jp/collections/bag

現在、岡本氏はスイスに在住しています。自分の感性を磨くために、10年ほど前に決意したそうです。そして、10年間が経過した今、岡本氏は今後の展開について、次のように語っています。
「今、スイスのプロジェクトで、現地の職人と一緒に、リサイクルガラスを使った照明を作っているんです。そうしたサステナブルな素材を活かしたインテリアアイテムを日本でも展開してみたいですね。インテリアの地産地消といえばよいでしょうか。経済のためだけにモノを作るのではなく、ピュアな感性と受け継がれた技術を用いて、長く大切に使えるモノを生み出す。16年前にSIRI SIRIを誕生させたときの思いをこれからも私自身、大切に受け継ぎ、さまざまな作品で表現し続けていきたいです」。
これからの日本でも、ますます必要とされるサスティナブルな製品。デザイン性や機能性にに優れ、長く使い続けられることを理想とした、岡本氏の作品は、今後も広く受け入れられるポテンシャルを維持していくことでしょう。

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