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日本のものづくりデザイナー21~陶芸家・岡崎 裕子(おかざき ゆうこ)~

イッセイミヤケのプレスから陶芸家へ


岡崎裕子氏 参照:https://organcraft.com/journal/yuko-okazaki-1

岡崎裕子氏は1976年生まれ、東京都の出身です。イッセイミヤケのプレス(広報担当)をしていましたが、陶芸家を目指し退職。笠間市で陶芸の修行を開始して2007年陶芸家として独立を果たしています。その経歴やがんとの闘病などのライフスタイル、そして、とんぼをモチーフにした独特の作風と、近年大きく注目されている岡崎氏。今回は彼女の横顔と今後の活動について、ご紹介していきます。

運命を変えたイッセイミヤケとの縁


参照:https://organcraft.com/journal/yuko-okazaki-1

小さい頃からものづくりが好きだった岡崎氏。高校卒業後は美大への進学を希望していましたが、両親の反対で断念、高校の付属短大に進学します。しかし、美大進学を諦めきれなかった岡崎氏は、卒業後ニューヨークの美術学校への留学を計画していました。
ただ、ちょうど時を同じくして、岡崎氏の運命を変える出会いがありました。3日間だけ、として英語が堪能な岡崎氏に知人が紹介してくれたアルバイトが、イッセイミヤケの海外モデルをアテンドする仕事だったのです。この仕事でブランド関係者や三宅一生氏とも会食をする機会があり、その仕事ぶりが評価された岡崎氏はプレスのアシスタントとしてスカウトされたのです。

「本物」の才能から得た驚嘆と刺激


ドラゴンフライラージプレート 参照:http://yukookazaki.com/

ファッションブランドという、自分が好きなものづくりに近い現場で働くことになった岡崎氏は、充実した日々を過ごしていたといいます。しかし、胸の奥には僅かな違和感のようなものもありました。
「側で感じる三宅さんのカリスマ性、モノづくりに真摯に向き合う姿勢、プレッシャーに打ち勝つ精神力、もうすべてのことで自分にはこんなことは絶対にできないという、『本物』の方の側にいることで、何か諦めがついたというか……」と、語るように、稀有なクリエイターである三宅一生氏の仕事を見ているうちに、自分のものづくりに対する気持ちが変化をしていきます。そして、胸の奥に抱いていた違和感は、自分のやるべき道に進んでいなかったことに対する気持ちだったことに気づきます。
そこからの行動は迷いなく、早急でした。以前から強く引かれていた陶芸の道に進むため、イッセイミヤケを退職。茨城県笠間市の陶芸家森田榮一氏の弟子となったのです。

結婚、出産、そして闘病。それでも作陶を続ける理由


参照:https://organcraft.com/journal/yuko-okazaki-2

世界的なファッションブランドを退職し、茨城県へ住まいを移しての新たなスタートに、周囲の人の多くは半ば呆れていたといいます。しかし、岡崎氏自身は、やっと見つけた希望への道に充実感を感じながら日々を過ごしていきます。修行から独立、結婚と出産という幸福、そして乳がん告知と闘病という試練。ただ、岡崎氏はそれらを包含するように、ひたむきに作陶を継続しています。

人生を見つめ直したがん告知


リーブイン・ザ・スカイ・スモールカップ 参照:http://yukookazaki.com/

4年半の修業を終えた岡崎氏は、横須賀市にある亡くなった祖母の家をアトリエに改装。陶芸の道に反対だった両親も応援してくれるようになり、独立を果たします。その後、仕事を続けながら結婚、出産と幸せなライフステージを経験していきました。
しかし、暗雲のような出来事は突然やってきました。次女の授乳期に覚えた違和感は、すぐに、「リンパへの転移を伴うステージ2bの乳がん」という告知につながります。
「告知を受けた直後は、家族のことや、これからのこと、もしものことなど、色々なことを考えました」と語る岡崎氏。しかし、幸いなことに治療は順調に進み、現在まで再発なく過ごしています。
世界的なファッションブランドから陶芸家への転身、結婚、出産、闘病とさまざまな出来事を経験した岡崎氏は、今後どのような創作活動を続けていくのでしょうか?

終わりがないからやるしかない


ドラゴンフライ・カップ・アンド・ソーサー 参照:http://yukookazaki.com/

「修行をしていた時にも感じたことなんですが、幸せとか不幸せは誰かと比べるから出てくる感情だと思うんです。自分が今できること、未来にやりたいことだけに集中していれば、そんな感情はあまり大きな意味を持たない気がします」と語る岡崎氏。病気になったことも、ポジティブに捉えて、創作に集中しています。「私にとっての陶芸、モノづくりにはゴールがないようなイメージがあります。終わりがないから追求し続けるしかない、何かができるようになれば次の課題や壁に当たるし、飽くなき探究心のようなものを持ち続ける事だと感じるんです」とも語り、新たな作品づくりに意欲を見せます。
笠間の修行時代に見たハグロトンボをモチーフにした作品は有名で、多くの人気を集めています。また、海に近いアトリエにふさわしい波のモチーフや、女性らしい感性を感じる花のモチーフなど、これからも新しい陶芸の世界を表現する素敵な作品を、多数生み出してくれることでしょう。

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