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日本のものづくりデザイナー25~プロダクトデザイナー・生駒タカミツ(いこま たかみつ)~

「技術から生まれる形」を追求するデザイナー


生駒タカミツ氏 参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

生駒タカミツ氏は、1989年生まれ、長野県安曇野市の出身です。現在、自ら起業をして各方面から注目されている、収納や持ち運びに便利な電動バイク「ハコベル」を開発しています。現代は、新たな乗り物やロボットが身近になりつつある時代と言えます。そのようななかで、テクノロジーはもちろんですが、デザインからも消費者にアプローチすることは大変重要なこと。人間にとっての乗りやすさ、使いやすさ、収納のしやすさなど、プロダクトデザインの基本は、最新テクノロジーにも必要不可欠です。今回は、「技術から生まれる形」を追求するデザイナー、生駒タカミツ氏をご紹介します。

ロボットが好きだった少年時代


生駒氏が手掛けたプロジェクターを搭載した可変型ロボット「Tipron」 参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

生駒氏がものづくりに興味を持ったのは小学生の時でした。北九州市にあった「スペースワールド」という施設で、スペースシャトルの実物大モデルを見て、大きな衝撃を受けたといいます。「そこからSFやロボットに興味を持つようになり、中学生の頃には明確にガンダムみたいなロボットを作る仕事がしたい、って思っていました」と話すように、自分でロボットをつくるという夢を抱くようになったのです。
その後、高校は建築科に進学。同時にロボットの同人誌にデザインを投稿するなど、「僕は本質的に技術自体よりも『技術から生まれる形』に興味が強くて、次第にロボットのデザインに興味を持ちました」と語るように、「デザイン面」での活動に傾倒していきます。そして、その考えを実現するために高校を卒業後には桑沢デザイン研究所のプロダクトデザイン科へと進学します。

人が使うものとしてのデザイン


生駒氏が携わった、なごみ系ロボット「LOVOT」 参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

進学するにあたっては、アニメーション専門学校などの選択肢も考えたといいます。しかし、生駒氏は空想のイラストを描くにはリアルを知る必要があると思い、桑沢デザイン研究所を選びました。その頃は、あくまでもイラストレーターのように空想のロボットをデザインすることに専念していたのです。
しかし、桑沢デザイン研究所で勉強するうちにその考え方は変化していきます。「もしアニメーションの学校に行っていたら、もっと絵をいっぱい描いて、SF世界などを考えるイラストレーターなどの道にいけたのかもしれません。しかし、人が使うためにはどのような形が良いか、といったデザイナーの考えを知り、後に様々な製品開発に携われたのは、桑沢でプロダクトデザインを学んだおかげだと思っています」と語るように、「人が使うものとしてのデザイン」を模索し、空想ではなく実現することを模索し始めたのです。

自由な作風で、誰にでも興味を持ってもらえる作品をつくる


小型電動バイク「ハコベル」(HAKOBELL) 参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

桑沢デザイン研究所を卒業後には、タカラトミーにアルバイトとして採用され、「トランスフォーマー」に携わります。ステップアップを続けていき、5年後には社員として本社勤務となりデザインにも携わるようになりました。その経験を活かして、実際のロボットづくりを経験するべく「Cerevo」という会社に転職。変形するロボットプロジェクターを手掛けます。その後も別の企業で「LOVOT」という家族型ロボットの開発に携わるなど、生駒氏は少年時代に抱いていた「ロボットをつくりたい」という思いを叶えていったのです。

変形の美学から生まれたデザイン


箱型のボディから後輪部分がせり出す 参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

現在も開発段階にある折りたたみ式電動バイク「ハコベル」。その構想は、2016年頃からあったといいます。その頃、ほかのメーカーでの折りたたみバイクを見かけることがあったといいますが、生駒氏は「折りたたむと自立しないし、そんなに小さくならなくて、変形の仕組が僕の美学に反するものだったんです(笑)」と思ったそうです。変形するロボットにずっと携わってきたからこそのこだわりは、生駒氏を折りたたみバイクづくりへと熱中させます。
そして、結婚や子供の誕生など、人生の節目を迎えた生駒氏はその熱意を胸に独立。さまざまな人々の助けを借りて、実用化に向け準備をしています。

経験を積みながら自分の造形を追求する


参照:https://fabcross.jp/interview/20210629_icoma_hakobell.html

2021年度には、総務省が関わる、成長戦略フォローアップ、「破壊的な挑戦部門」に採択された生駒氏。「ものを作る上で基板やプログラムですごいことができるのも重要ですが、それを包み込むデザインがしっかりしていないと、外に波及する力が弱くなる−−。それが解決されれば、売れるプロダクトも増えていくのではないかと思うので、工業デザイナーもスタートアップやメイカーズムーブメントに、もっと関わっていくといいなと思いますね」と語るように、今後さらに発展していくであろうテクノロジーの時代でも、人間がそれに携わる限り、デザインは普遍的な役割を持ち続けるのです。

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