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日本のものづくりデザイナー7~プロダクトプロデューサー・植木 明日子(うえき あすこ)~

「何かをつくりたい」という思いからデザイナーの道へ


植木明日子氏 参照:https://www.haconiwa-mag.com/creator/2016/05/4th_anv_uekiasuko/

植木明日子氏は、1977年埼玉県生まれのプロダクトデザイナーです。水玉模様と縞々模様、この2つをかけ合わせた「水縞」という名の文具系ブランドを展開し、大人の落ち着いたデザインが人気を博しています。大学で建築を学んでからプロダクトデザインの道へと進んだ個性派でもあり、「プロダクトデザインは建築の延長」と語る植木氏。今回はそのデザイン論などをご紹介していきます。

建築家を目指すも、漠然とした違和感があった

植木氏の父親は建築家でした。そのため、実家には建築関係の道具や資料などが多くあり、小さい頃からおもちゃ代わりとして遊んでいたと言います。その体験は、次第に「ものづくり」への憧れを育み、父と同じ建築の道へと進むことになりました。
しかし、 明治大学理工学部建築学科に入学してみたものの、「建築以外のなにかがしたい、という気持ちが心の片隅にいつもあって、それがコンプレックスにもなっていました」という違和感を抱えていたのです。
その違和感の正体は、大学3年の特別講義で判明します。家具や照明などのデザイン課題がだされたときに、植木氏は、その課題がとても楽しく、これこそが自分の求めていたものだと確信しました。そして、建築という流れの中で「プロダクトデザイン」を目指すことを決意します。それは、「プロダクトをつくる=建築への延長=空間と接点ができる」と捉えていたからでした。そして、その考え方やアイデアは、社会に出てプロダクトデザイナーになるうえで、非常に役立ったと言います。

建築事務所からプロダクトデザインの道へ


参照:https://nombre.ocnk.net/product/932

東京藝術大学大学院の建築学科を経て、建築設計事務所へ入社した植木氏は、事務所の代表者に「建築と接点がもてるプロダクトデザインがやりたい」と掛け合います。異例の申し出だったといいますが、事務所側は植木氏の意見に賛同し、ここからプロダクトデザイナーとしてのキャリアがスタートしたのです。
しかし、イチからのスタートは、苦労の連続でほぼ手探りの状態が続きます。数年間は実際に販売までたどり着けずに、アイデアだけが蓄積していくという期間だったと言います。そんな充電期間を経て、偶然にも美術館のミュージアムショップを紹介されたことがをきっかけに、植木氏のデザインは徐々に知られるようになっていきます。

「ありそうでないもの」をつくる

プロダクトデザイナーとして軌道に乗りつつあった植木氏は、当時事務所があった吉祥寺で運命的な出会いをします。それは「サブロ」という個性的な文房具を売るショップの店長である村上氏との出会いでした。個人的にも気が合った2人は、オリジナルブンドを立ち上げることになります。

文房具のデザインも建築に近い


参照:https://nombre.ocnk.net/product/495

現在、植木氏の仕事の中心は、オリジナルブランド「水縞」と「西東」のデザインですが、それとは別にミュージアムショップのオリジナルデザインの依頼なども多いといいます。また、結婚式の招待状や席次表をオリジナルペーパーでデザインする仕事もあるそうです。
オリジナルブランドで自分たちの作りたいものを作る。一方では顧客からのオーダーでデザインをする。そのコントラストが植木氏にとっては良い刺激になっています。特にオーダーメードの仕事では、「オーダーメイドのお客さんからの要望をどれだけデザインに落とし込んでいくかというのは、すごく修行になります。お客さんがいて、どんどん要望が出て、それに答えていくというのは、建築に近いのかな」と語るように、大きなやりがいを感じているようです。

「ありそうでない」ものづくり


参照:https://nombre.ocnk.net/product/788

植木氏がアイテムを開発するときに考えることは「ありそうでない」ということです。「こんなものがあったら良い」とか「なんとなく便利そう」など、イメージから具体化していくという考え方を取っているそうです。
そして、「ありそうで、でもまだないものというのは、製造上の超えられない何かがあるとか、コスト面か、なにかしらのハードルがあって、まだこの世で実現されていないのだと思うのですけど、それをどう越えていけるのかが、オリジナリティをつくれるところになるのかなと思います」と語るように、オリジナルデザインをつくるということは、障害も多いはず。しかし、植木氏はそれをいくつも乗り越えてきたことで、プロダクトデザイナーとして現在、活躍しています。今後は、さらにオリジナリティの高いもの、「使い方そのものが新しいプロダクトを考えつきたい」と語っています。

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