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木と対話し、音を作る。ヴァイオリンを徹底解剖 ①歴史と種類を知ろう

クラッシックと聞いて何を思い浮かべますか?

ヴァイオリンを思い浮かべた人も多いのではないでしょうか。ヴァイオリンはクラッシックの花形楽器ともいえ、その素敵な音色は人々を魅了します。

当記事では、ヴァイオリンの歴史と種類、そしてヴァイオリン選びのポイントについてご紹介します。

ヴァイオリンの歴史

まず、ヴァイオリンの歴史についてみていきましょう。

ヴァイオリンのような、弓で弦を擦って音を出す楽器を擦弦楽器と言います。この擦弦楽器の先祖と言われているのは、アラビアのラバーブや、中世にオリエントから伝わったレベック、そして中世末期のヨーロッパで使われていたフィルドという楽器です。 その他にはラバーブから発展した楽器の中国の二胡やモンゴルの馬頭琴はヴァイオリンの親戚と言えます。

その後、1550年にヴァイオリンは完全に完成した状態で突如、歴史上に現れました。 完全に完成したというのは、少しずつ改良を加えて完成させてのではなく、先祖とされている楽器と比較しても楽器としての完成度は非常に高い形でイタリアのクレモナで突然誕生しました。

しかし、このヴァイオリンは現存していないため、当時の絵画にヴァイオリンが描かれていることから推測されました。

現存する世界最古のヴァイオリンは、1565年頃にクレモナの楽器職人であるアンドレア=アマティによってつくられた作品です。そのため、直接現在の楽器のもととなる楽器を発明した人は明らかになっていませんが、アンドレア=アマティによるものではないかとされています。

17世紀にはクレモナでニコロ=アマティ(アンドレアの孫)、ジュゼッペ=ガルネリ、アントニオ=ストラディヴァリなど有名な製作者が現れました。この3人の作品は今でも有名であり現存しているため、実際の音を聞くことができます。 当時はアマティの工房の弟子として多くのヴァイオリン職人が誕生しました。ガルネリやストラディヴァリもこうの工房の出身だったと言われています。

これまでは貴族のサロンなどで演奏されていましたが、19世紀以降には広い会場での公演も行われるようになり、今まで以上に音量や音域が要求されるようになりました。そのため、18世紀以前に製造された有名なヴァイオリンは職人によって改良されています。

改良したヴァイオリンを「モダン・ヴァイオリン」、改良されなかったヴァイオリンを「バロック・ヴァイオリン」と呼びます。

この改良は、ストラディヴァリのような胴体が平らな作品のほうがやりすく、他の工房で製造された胴の膨らんだ作品では調整が難しいとされています。そのため、その後ヴァイオリンの源流としてストラディヴァリが残っていったのではないかと言われています。

このように、ヴァイオリンの歴史は16世紀頃に始まっていますが、完成した形で突然歴史上に現れたため、起源やどのようにし完成したのかということは、いまだに分かっていないのです。

ヴァイオリンの種類

次にヴァイオリンの種類についてみていきましょう。 ヴァイオリンは弓を使って弾く楽器ですが、ヴィオラ・チェロ・コントラバスもヴァイオリンと同じような弦楽器です。実はこの3つの楽器も同じヴァイオリンの仲間で4種の楽器を合わせてヴァイオリン属といいます。この4つの楽器の特徴についてご紹介します。

ヴァイオリン

ヴァイオリン属の中で一番ポピュラーな楽器であり、弦楽器の中でも演奏人口が一番多いヴァイオリン。

オーケストラや四重奏など、クラッシックの場で活躍しているのをよく見かけると思います。

ヴァイオリンはヴァイオリン属の楽器の中でも最も小さく、最も高音域をだします。子供用や大人用などによって大きさは変わりますが、その本体の長さは約60cm、胴部の長さはおよそ35cm、重さは300~600gほどになります。

弦は4本ですが、弦の種類にも3種類あり、使う弦によって弾きやすさや音質が変わります。

ヴィオラ

ヴィオラの見た目はヴァイオリンと似ていて、パッと見ただけではヴィオラかヴァイオリンか分かりずらいと思います。ヴィオラはヴァイオリンと形状や演奏方法は同じですが、全体の長さが10cmほど長く、一回りほど大きいサイズとなっています。

そのためヴァイオリンよりも音域が少し低く、まろやかな音で周りの楽器を引き立てる役割を果たしています。

ヴィオラはヴァイオリンと同じく、クラッシックの場で活躍する楽器ですが、オーケストラなどでは、ヴァイオリンの演奏する主旋律に対する副旋律のパートを担当することが多い楽器です。

チェロ

チェロもヴァイオリンやヴィオラとほぼ同じ構造ですが、低い音を出すために全体的に大きくなっており、長さは約120cm、重さは約3.5kgとヴァイオリンよりも大きいサイズとなります。

そのため、ヴァイオリンやヴィオラのように顎に挟んで演奏できる大きさではないので、本体の丸みを帯びた側にあるエンドピンという棒を床に立てて演奏します。

弦楽四重奏、弦楽五重奏、ピアノ三重奏といった重奏ではチェロは低い音を出すため、低音部のパートを受け持ちます。

コントラバス

コントラバスはチェロよりも大きく、その全長は約170~200cm程度とかなり長く、重さも約10~15kgあり、ヴァイオリン属の中で最も大きな楽器です。

そのため腕に抱えて演奏できないので、演奏者は立った状態もしくは交響曲などの長い曲を弾く時には高めの椅子に座った状態で楽器を立てて演奏することもあります。

コントラバスは低く重厚感のある音色が特徴で、クラッシックでの演奏はもちろん、ジャズや吹奏楽、ロックバンドでも活躍しています。その用途によってウッドベースやアップライトベース、弦バスなど呼び方がいろいろあります。

ヴァイオリン選びのポイント

次にヴァイオリン選びのポイントについてみていきましょう。 ヴァイオリンをいざ購入しようと思った時に大切なポイントとして3つご紹介いたしますのでぜひヴァイオリン選びの参考にしてみてください。

値段

購入にあたってまず一番大事なのがヴァイオリンの値段になると思います。いいヴァイオリンになるほど値段は高くなり、プロの演奏者が使っている何千万円、何億円といったものもあります。

1万円程度で購入できるヴァイオリンもありますが、初心者の方で人気の価格帯は3万~5万円くらいですので、購入の目安にしてもいいかもしれません。

また、ヴァイオリンは弓や弦などによっても音が変わりますので、楽器本体だけでなく、弓や弦もしっかりと選んだ方がいいでしょう。

ヴァイオリンと言えば、前述の歴史でも紹介したようにイタリアなどのヨーロッパが製造など盛んですが、最近では中国で製造された質のいいヴァイオリンなどもあり、昔に比べて低価格で購入することができます。そのため自分の予算の中で購入できるヴァイオリンを選ぶことができます。

サイズ

ヴァイオリンを選ぶ上で最も大切なことは、自分に合った適切なサイズのヴァイオリンを選ぶことです。

大人のヴァイオリンのサイズは1種類で、145cm以上の大人であれば一般的に4/4フルサイズを選びます。

子供の場合は間違ったサイズのヴァイオリンを使用し、姿勢が悪くなったりすることもありますので、正しいサイズを選ぶ必要があります。

サイズの調べ方は、左手を左側に伸ばして、首の付け根から手の指先までの長さを測定して最適なサイズを調べられます。

製造方法

ヴァイオリンの製造方法はプレス品と呼ばれる機械で仕上げたものと、手工品と呼ばれる職人が手作りで製造しているものの2つあります。

プレス品は機械で大量生産し製造されるため低価格で購入することができます。しかし、プレスしていた分、時間がたつにつれ、プレスしていたものが元に戻ろうとしてくるため悪い音が出るようになったりします。

初心者の方であればプレス品で初めて見るのもいいかもしれませんが、手工品であればメンテナンスをしっかりとしていればずっと使うことができます。

ヴァイオリンの製造方法について、詳しくは次回記事で解説します。

最後に

いかがでしたか?

今回はヴァイオリンの歴史と種類、そしてヴァイオリン選びのポイントについて紹介しました。

ヴァイオリンは完成した形で突然歴史上に現れたため、現在でも起源については分かっていません。クラッシックの花形でもあるヴァイオリンは一体誰に手によって、どのように作られたのでしょうか。まだまだ気になる部分はたくさんありますね。

また、ヴァイオリン属と呼ばれるヴァイオリン、ヴィオラ、チェロ、コントラバスは、見た目はほとんど一緒ですが、サイズによって音域に違いがあり、オーケストラでも担当するパートが異なります。

気になる楽器はありましたか? 購入される際には「ヴァイオリン選びのポイント」を参考に選んでみて下さい。

当記事を読んで、ヴァイオリンについて興味を持っていただけたなら幸いです。

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