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日本のものづくりデザイナー55~陶芸作家 大塩 まな(おおしお まな)・大塩 ほさな(おおしお ほさな)

奈良の伝統工芸を姉妹で守る


大塩 まな氏 参照:https://www.athome-tobira.jp/story/172-oshio-mana-hosana.html

大塩 まな氏は1997年、 ほさな氏は1995年、ともに奈良県生まれの姉妹です。奈良で古くから制作されている赤膚焼(あかはだやき)の窯元「大塩正窯(おおしおただしがま)」の窯主である大塩 正氏の娘として生まれ、現在は陶芸作家として活躍しています。今回は伝統工芸の技を継承する若き姉妹をご紹介します。

子どもの頃から陶芸に興味を示す


大塩 ほさな氏 参照:https://www.athome-tobira.jp/story/172-oshio-mana-hosana.html

両氏とも、家業の影響から作陶や絵画など、芸術的なことに子供の頃から強い興味を示していたと言います。その志は一時的なものではなく、中学を卒業してからは共に高校の芸術科を専攻しています。
その後、妹のまな氏は短大に進み、陶芸を専攻。軽い気持ちで受験をしたそうですが、想像以上に奥が深く楽しい陶芸の世界に「これは一生続けていきたい!」って思ったといいます。
一方で姉のほさな氏は、陶芸以外にも広く興味を持ち、彫金や京都の専門学校で絵付けについて学びます。赤膚焼に施される「奈良絵」は軽いタッチなので、デッサンなどさまざまな学びが役立っているそうです。
そして、2人は父であり、大塩正窯窯主の大塩正氏に弟子入り。主にまな氏が作陶を担当し、ほさな氏が絵付けを担当してオリジナル作品なども製作しています。

古くから伝わる奈良の焼き物「赤膚焼」


赤膚焼 飴釉皿 参照:https://www.creema.jp/item/15334471/detail

赤膚焼は奈良県奈良市と大和郡山市に窯場があり、主に3つの特徴を持ちます。一つ目は器肌が人肌のような優しい「赤み」を帯びていること。二つ目は、その赤みを帯びた器に萩釉という「乳白色の釉薬」を掛けていること。そして、三つ目に「奈良絵」と呼ばれる御伽草子などを題材とした庶民的な絵柄を施していることです。厳密な定義はありませんが、現在では、この3つの特徴をもって赤膚焼と言われています。
その歴史は、記録が少なく定かではありませんが古代の埴輪製作にまで遡るという説もあります。また、天正年間(1573 – 1592年)豊臣秀長が尾張国常滑から陶工の与九郎を招き、五条山で開窯させたのが創始という説もあります。

伝統の窯元で意欲的な作品を製作


赤膚焼 汲み出し 参照:https://www.creema.jp/item/15088014/detail

現在、赤膚焼の窯元は奈良市、大和郡山市に7軒あるとされています。中でも姉妹が生まれ育った大塩正窯(おおしおただしがま)は約400年の歴史を持ちます。

伝統を活かしながら革新的な作品にもチャレンジ


作陶の様子 参照:https://chiiki-yukari.com/story/akahadayaki-coffeecup/

窯主である父の正氏は地元奈良でも、数々の賞を獲得し名工と言われています。その娘である、まな・ほさな姉妹は、やはりプレッシャーを感じることもあるとも語っています。
しかし、姉妹は窯の伝統を守りつつも、自分らしい革新的な作品づくりにもチャレンジしています。
ほなさ氏は「オリジナルの作品を作る時、私はじっくり作るタイプのためデザインで悩むことも多いのですが、妹は思いついてから完成までがとにかく早く、デザインの斬新さにも毎回驚かされています」と語り、姉妹のものづくりに対するアプローチの違いこそが、革新的な作品を生み出す原動力となることを示唆しています。

自由な発想で作品作りを継続


絵付けの様子 参照:https://chiiki-yukari.com/story/akahadayaki-coffeecup/

「伝統と、ひとりの作家として表現したい芸術性。双方を大切にしつつ、自分らしい作品を作るそんな思いで、ものづくりに取り組んでいきたい」と語る、まな氏。
父である正氏も2人の独自性に期待し、「絵付けでは奈良絵を守るのも大事だけど「ほさなの奈良絵」っていうのを見つけてほしいし、赤膚は自由で何でもありなので「まなの世界観」はそのまま大事にして面白いものを作っていってほしいですね」と語ります。
姉妹でありながらも、作品づくりに対するアプローチが異なることにより斬新なアイデアが生まれる。その工程を大切にしながら、今後も姉妹ならではの新たな作品をつくっていくことでしょう。

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