ロシアで有名なマトリョーシカはどなたもご存じだと思いますが、日本の地箱根ではとても細かいマトリョーシカを作り続ける職人がいます。
その職人が作ったマトリョーシカを見ているとそれならではの魅力を感じるのはもちろんですが、筆者はなんとなく見続けてしまう・・・。
なんともいえないその魅力をお伝えしたいと思います。
今回ご紹介するのは、箱根・小田原地方で伝統芸術として地元では特に有名な箱根唯一の木地師である田中一幸氏が手がける「十二組子卵」。
その伝統はろくろを使用したものであり、田中氏はこれを用いてさまざまな細かい作品を世に出しています。
その中でも私が気になっているのが同作品で、作品の中でも特に高い精度が必要とされる入れ子細工です。
見ていて癖になってしまうこのマトリョーシカは、ごく薄く挽かれた12個の卵がそれぞれにちょうど重なる大きさに精密に作られています。
そもそも、この伝統であるろくろを使って薄い厚さに仕上げているにもかかわらず、これをマトリョーシカとして成功させた精密さに驚嘆しています。
その見た目も見入ってしまうほどのものであり、実際に触って卵の入れ替えをしたら、きっとその簡単な作業をだけでも癖になってしまい、没頭してしまうのではないかと考えてしまいます。
そして、最後の卵にはひよこが出てくるというオチもあり、大人から子供までどの世代でも楽しめる芸術作品となっています。
崇高なこの技術を要する作品を一度でも良いので手に取ってみたい、そう感じる逸品です。