匠名/メーカー名:福田手袋 ラペロ
ほっそりと美しい形のカシミヤ製グローブ(手袋)。
指がキレイに見え、手の動かしやすさも抜群で、つけ心地もよい、という評判がたくさん集まっているようです。
あざやかな色合いと、カシミヤの温かな質感が魅力的で、いかにも質のよい手袋という感じです。
この手袋は、日本で一番古い手袋メーカーだという「福田手袋」の品です。
福田手袋は、香川県の東かがわ市に所在する企業。
香川県は、とても長い歴史を持つ手袋の産地だということを、あなたは知っていましたか?
私はこれまで、まったく知りませんでした。
明治~大正ごろから香川で手袋製造が始まり、今に至るまでずっと続いています。その歴史は約130年。
現在日本で製造される手袋は、90%以上香川産なのだそうです!
その香川の地で、最初に手袋製造が始まった経緯というのも、すごく面白いのです。
明治頃、東かがわのお寺の住職さんが、女性と駆け落ちして、大阪で暮らし始めます。生計を立てるために、ふたりは大阪で手袋製造を始めました。
その後、その元・住職のいとこの男性が大阪に来ることになり、ふたりの手袋製造を手伝い始めます。
そしてさらに年月が経ち、元・住職の男性は病気で亡くなりますが、いとこの男性は大阪で手袋製造を続けます。
いっぽう香川では、昔からあった地場産業が、産業として徐々に成り立たなくなってきていました。
昔から香川では製塩・製糖業が盛んに行われていたそうですが、このころ海外からの輸入の砂糖や塩が流通し始め、製塩・製糖業は衰退していきます。
大阪で手袋製造を続けていた元・住職のいとこの男性は、ふるさとの人から、香川の窮状(きゅうじょう)を相談されます。
男性は、手袋製造の技術を大阪から持ち帰って香川の人びとに伝え、香川の地に手袋製造という産業が生まれたのだそうです。
駆け落ちした場所で自分たちの暮らしを成り立たせるため、のちには地域の人たちを生かすために、ある意味必要に迫られて始まったのが、香川県の手袋製造なんですね。
いま、手袋工場は女性の熟練職人さんたちが肩を並べてミシンを操っています。生地の裁断など、各工程は丁寧に手作業で行われます。
福田手袋は、手袋のつけ心地のため、縫い代は2㎜でなくてはならない、という縫製基準があるそうです。
もちろん、すべての箇所を2㎜の縫い代で均一に縫い上げるなんてとんでもない離れ業。
それでも、経験豊富で高度な技術をもつ手袋職人が、しっかり基準を守って縫い上げていくそうです。
いまや、その細やかな技術力で、ヨーロッパの有名メゾンからも製造オファーが来るという福田手袋。
長い歴史で磨き抜かれた技術でつくられた手袋、いちどじっくり手に取って見てみたいです。