匠名/メーカー名:薩摩びーどろ工芸
日本の食卓を彩る切子(きりこ)。洗練されたデザインと涼やかさある美しさは、日本の伝統と歴史を感じさせます。切子といえば、薩摩切子や江戸切子をイメージする方も多いのではないでしょうか。今回は薩摩切子である「富士山盃」について紹介します。
そもそも切子とは、ガラス装飾加工法のひとつで、立方体の角を切り落とした形の切籠形(きりこがた)から来ているといわれています。切子が誕生したのは江戸時代後期で、歴史あるガラス細工として有名です。
富士山盃は、薩摩切子のガラスの美しさと万華鏡のようなグラデーションが魅力。グラスを逆さにすれば、富士山のように凛とした優雅なビジュアルが映えます。
職人の洗練された技術の結晶ともいえる富士山盃は、戦争や工場の消失などで、わずか20年足らずで終焉しました。しかし、100年のときを経て、一流の職人たちが結集し見事に復元しました。いまでは鹿児島県の伝統工芸品にも認定されています。
彫りの深さを変えてグラデーションを生む「ぼかし」は、薩摩切子の最大の魅力です。吹き師と切子師が二人三脚となり、独特なグラデーションを生み出しています。原料となっているクリスタルガラスは、海外の高級グラスブランドでも使用されるほど光沢や透明感が素晴らしく、富士山盃を手に取るとあまりの美しさに酔いしれてしまうほどです。
富士山盃は、日本の文化や日本の歴史に触れる外国人を意識して作られています。ぜひ、日本の文化を肌で感じたい方やお酒を美味しく飲みたい方は、富士山盃・薩摩切子を手に取ってみてはいかがでしょうか。