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お箸がなければ日本のごはんは成り立たない 長い歴史と逸話だらけの箸の世界

お箸のことどのくらい知ってる?

日本のカトラリーといえば、お箸です。生活に密着しすぎていて、日本に暮らすほとんどの人が箸のない暮らしは考えられないはず。

コンビニでお昼ごはんを買って、さあ食べようという時に、ビニール袋の中に割り箸が入ってない!お腹が空いているのにどうしよう!店員のひとが入れ忘れちゃったんだな、と焦った経験があるひとも多いはずです。

日本のごはん風景に箸はなくてはならないもの。ナイフがなくとも、フォークがなくとも、スプーンがなくとも平気ですが、箸がなければ話にならない。

以前視聴していたテレビのバラエティー番組で印象的だったシーンがあります。

ヨーロッパ人の有名コックの方が、日本の芸能人に料理をふるまう番組でしたが、日本の芸能人がナイフとフォークを使うのに少し手間取ったときに、ヨーロッパ人コックの方が「ふだんお箸を使う文化だから、少し手間取ってしまったかな」というセリフを漏らした場面です。

その方は「箸で食べるものじゃない料理を作ってしまったから、ちょっと食べにくかったかな」と言いたかったのでしょうね。

もちろん日本人も普段から洋食を食べるときはナイフとフォークを使いますけれども、息をするように使いこなせるのは、やっぱりどちらかと言えば箸のほうかもしれません。

また、ハリウッド女優のキャメロン・ディアスさんなどはお箸を使うのもとても上手です。

普段からゴージャスな中華や日本食を食べなれているのかもしれませんね。世界の国々にある中華レストランや日本食レストランでは、もちろん箸が添えられて食事が供されますから、ヨーロッパ人やアメリカ人の多くのひとびとも現代では箸を上手に使いこなせるのですね。

アジア圏代表のカトラリーと言っても良いお箸。

あなたはいったい箸についてどのくらいのことを知ってますか?

日本における箸の歴史や各国の逸話、職人さんによって、現代の箸の製造がどのように行われているかなど、箸の世界をのぞいてみたいと思います。

箸の長すぎる歴史

箸は紀元前から存在し、ひとびとの暮らしの中で使われていたとされています。

現在出土している最古のものとされている箸は中国の世界遺産・殷墟(いんきょ)から発掘された青銅製の箸。料理用の菜箸(さいばし)だったとされています。紀元前11世紀~14世紀のものだろうということですが、なんと遠い、はるか昔のものなのでしょうか。

古代人も箸を使っていたとは、なんだか不思議な気持ちになります。

考えてみれば箸は、ものすごくシンプルな形のカトラリーなので、ほぼ古代人の使っていたものと同じ形状の箸が現代でも使われているわけです。

握り方なども手の構造上大差ないはずですし、私たちが何げなくごはんを食べるときに使っている方法が古代人のやりかたとほぼ同じなんて…。

スマートフォンやロボットやドローン等最新機器の開発が盛んなこの時代に、かなり驚愕の事実とも言えるのではないでしょうか。

さて、日本にお箸が来たのはいつだったのでしょうか?

西暦607年に、遣隋使として隋から箸と匙を持ち帰ったのが小野妹子だったとされる説があります。そこから聖徳太子が朝廷で箸を使っての食事(供宴儀式)を取り入れて、箸は日本中に広まっていったということです。

それ以前の時代には、箸は一般的でなかったようですが、どのようにご飯を食べていたのでしょうね。串料理のように食べ物を木の枝に刺して食べたり、手づかみで食べていたのかもしれません。

イスラム教、ヒンドゥー教圏では食事の際に道具(カトラリー)を使って食べ物を口に運ぶのは汚れたこととされていて、手でつかんで食べることが最も清浄といわれています。

日本のひとびともお箸が日本に入ってくるまでは、そういった考え方をもっていたのかもしれませんし、ただ単純にお箸や道具を使うほど文明が発達していなかったのかもしれませんね。

箸を愛用する国々

現在、箸を使って食事をとる国はどのくらいあるのでしょうか。

東アジア地域で広く使われていて、日本、中国、シンガポール、ベトナム、タイ、ラオス、カンボジア、モンゴル、朝鮮、台湾などが主に箸を愛用して食事をするようです。

しかしその中でも日本の食事法は少しばかり独特とも言えます。お箸のみを使ってごはんを食べるのは、「日本だけ」なのがその理由です。

中国は汁ものを食べるときにはレンゲを使用し、韓国でも炊いた米を食べるときは匙を使い、副菜をつまむときなどに箸を使うというのが普通だからなのです。

器用に箸だけを使って食事をしている民族は日本のひとだけだったなんて…これもまた結構驚きの事実です。

和食料亭などでは箸のみがカトラリーとして添えられることも珍しくはありませんし、確かにスプーンや匙やレンゲを使わずに箸だけで汁物や丼物を食べてしまうことも日常の食事では普通ですよね。

日本はシンプルさやミニマリズムを大切にした禅の考え方の発祥の地でもあることですし、カトラリーもシンプルに!ということでしょうか…。禅といえば、お箸も「いちぜん」(一膳)という数え方をしますが、あれはどうしてなのでしょうか。

お箸の数え方を“いちぜん(一膳)”というわけ

もともとは、神仏のいる神殿などに行き祈りをささげるときなど、神の前に出ること・神の座しているところを「御前」(ごぜん)と呼んでいました。

やがて神さまそのものを「前」(ぜん)という言葉で指すようになったのですが、神様にお供えする供物の食べ物なども、「神様(前)にさしあげる食べ物」ということで前と呼びあらわすようになりました。

そして神様にお供えする食事に添えていた箸も、前(ぜん)というように呼び始めたのが、「一膳」と呼ぶ始まりだったのだといいます。要は語源としては、宗教用語の派生だったのですね。

しかし言葉の流行り廃りも激しい現代社会で、「一膳」という数え方もいまではだいぶ廃れてきているかもしれないとも思います。

コンビニなどのお店ではお弁当を買った際など、店員さんにカジュアルに「お箸何本つけますか~」と聞かれたりすることもよくありますよね。でも、「日本の神様に捧げる食事に添えられていたカトラリー」の数え方としては「一膳」がやっぱり格好いいような気がしますね。

古式ゆかしい箸の数え方も、まだまだ廃れてほしくはないものです。

宇宙にも箸を持って行こう

宇宙で食事をする。そんなときも、箸が活躍するということを知っていましたか?

箸を普段から食卓で使うことがない欧米圏出身の宇宙飛行士も、箸を宇宙で使うことがあるらしいのです。

宇宙ステーションやスペースシャトル内は当然ながら無重力です。

地球から持って行った宇宙食の食事をフォークで刺そうにも、スプーンですくおうにも、重力がないので、プカプカ食べ物が浮かんでしまい、用意した宇宙食のメニューによってはフォークもスプーンも役に立たないのです。そんなとき活躍するのが、お箸!

お箸は「つまむ」「つかむ」「はさむ」ことができるので、宇宙の無重力の条件下でも使い勝手がいい道具となりえるのです。

インターネットで検索をすれば、NASAの公開した、箸を使ってカレーを食べる欧米出身の宇宙飛行士の写真も見ることができます。

日本人宇宙飛行士の山崎直子さんも、個人品として宇宙にお箸を持っていくことも許可されていると明言しています。(スプーン・ナイフ・フォークももちろん使われています。これらはNASAに一人一式支給されるのだそう。お箸は支給品ではなくマイ箸持参というわけですね)

宇宙でも箸は活躍するということがわかりましたが、まだ宇宙旅行が一般的になるのはもう少し先だと思いますし、地球上、とくに我らが日本での箸の使われ方や種類も少し見てみましょう。

箸の用途と種類

日本のお箸で食事をとる際最も多く使われているのが、塗り箸だと言われています。

漆や合成樹脂を塗って作られて、通常の食事や、家庭に訪れた来客用にも使われます。

次いで竹製の箸もよく使われています。給食や社員食堂、子供用の箸としてはプラスチック製の箸もよく用いられています。

レストランやファストフードチェーン店、コンビニなどでは、使う時に二つに割って使う割り箸が提供されているのもよく見られますね。

割り箸は杉やヒノキなどの木材や、竹を使って作られています。レストランを利用するお客さんにとっては使い捨てで衛生的で便利である一方で、木材・竹を伐採し大量に使用・消費していることについて、森林破壊の観点から論争も起こっています。

調理用の箸としては、菜箸(さいばし)、揚げ箸(あげばし)、真魚箸(まなばし)もあります。

菜箸は竹製のものが多く、普通の箸よりも長く作られていて、揚げ物を作る調理の際や、鍋ものをとる際や料理の盛り付けなどに使うものですね。一般的な調理用箸としては一番菜箸がメジャーではないでしょうか?

揚げ箸はてんぷらなどの揚げ物調理用の箸。竹製のもの、先端部が金属製で揚げ油に対して耐久性が優れているつくりのものもあります。

真魚箸(まなばし)は魚を調理する際に使う箸。生臭い生魚や生肉調理用で、竹や鉄やチタン製のものがあるということです。

日本で食事をとる際や調理する際に使う主な箸は以上ですが、日本において箸は食事関係以外でも、使われていますね。

火鉢の炭を掻き出したりするのに使う火箸(ひばし)。熱い炭を扱うのに便利な箸ですね。真鍮製や鉄製のものなど金属でできています。

それから日本のお葬式・火葬で用いられる骨箸(こつばし)もありますね。

火葬されたお骨を骨壺に入れるときに使う箸のことです。

長さが異なる竹・木でできた骨箸で、参列した方たちの箸から箸に受け渡すのが日本の火葬の習わしとなっています。

小さなときにお母さんやお父さんから、お箸からお箸に食べ物を受け渡してはいけません、と教えてもらった方も多いかと思います。お葬式を連想させるため、不吉でよくない作法とされていますね。材質や長さの違う箸を合わせて使ってはいけないといわれるのも、長さと材質が違う骨箸を思い起こさせるためだそうです。

良い箸・悪い箸

正直に言って、現在日本に流通しているお箸商品はピンからキリまでたくさんのお箸があります。

百円ショップで売られているお箸だって毎日使っても1~3年はボロボロにならずに使えたりします。使い心地や見た目にこだわらなければ、百円で、毎日使える箸がカンタンに手に入る世の中です。

しかし、やっぱりそれでも、良い箸が欲しい。見た目が美しく、ものを食べるときにしっくりと手に馴染み、使いやすい長く使える良い箸が欲しいですよね。

例えば、職場に持っていくマイ箸や、お客さん用のお箸は、特に、見映えがする上質な良い箸を、少し気取って用意したいものですよね。

木箸の作り方は、ヒノキ、杉などの木材を鉋(かんな)で削り出し、やすりで形を整えなめらかにして作ります。

無加工の箸はそのままコーティングなしですが、コーティングする場合は漆や合成樹脂などで塗って、仕上げていくというもの。大量生産が難しい上質な箸は、ひとつひとつ丁寧に職人の手で仕上げられています。

木材を削り出して箸の形を整えていく過程は、職人の手によるさじ加減ひとつで、箸先の細さや先端の微妙な形が変わっていくので、熟練の技術が必要な作業です。

箸は手に持つという性質上、持ちやすい形でなければ使いにくいものです。各メーカーの職人や箸のデザイナーが持ちやすさを追求して、円形、四角形、三角形、五角形、六角形、八角形など、さまざまな形の箸が製造されています。

箸の世界はいかがでしたか?

日本の箸、世界で使われている箸、宇宙で使われる箸にまで触れましたが、箸の世界はいかがでしたか?

箸について知れば知るほど、あなたの身近な食卓テーブルの上の箸がちょっと違って見えてきたのではないでしょうか?

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