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日本のものづくりデザイナー4~プロダクトプロデューサー・丸若 裕俊(まるわか ひろとし)~

工芸品をきっかけに日本の文化を再発見


丸若裕俊氏 参照:https://r-tsushin.com/people/pioneer/maruwaka_hirotoshi/

丸若裕俊氏は、1979年神奈川県の生まれ。イタリアのファッションブランド「DIESEL(ディーゼル)」に3年間勤務した後に日本の伝統工芸を新たなコンセプトでデザインする「丸若屋」を設立し、焼き物や曲げわっぱなどの作品をデザイン・プロデュースしています。また、デザインだけではなく、お茶文化などさまざまな日本カルチャーの発信もおこなっています。

「文化」や「歴史」に魅力を感じていた若者

丸若氏は、横浜で育ったこともあり、さまざまな国籍や各国の文化に触れながら、自身のアイデンティティーを培っていったようです。それと同時に、日本も含めて「文化」や「歴史」に興味を持ち、いろいろと学んできました。最初の就職先であるイタリアのアパレルブランドであるディーゼルへの入社も、ヨーロッパ文化への興味があったからだと言います。
「入社した頃のディーゼルは、まだ日本では有名ではなく、ヨーロッパのカウンターカルチャーの色が濃いブランドで、そういう部分に魅力を感じたんだと思います」と語る丸若氏。その「文化」や「歴史」への興味は、やがて、日本文化へと向いていきます。

九谷焼を見たときの衝撃


参照:http://maru-waka.com/project_pumabento/

ディーゼルに勤めて3年が経過した時点で、丸若氏には「自分のパフォーマンスを発揮するところでいうと、ヨーロッパというジャンルはどうしても振り切れないところがあるな」という思いが湧いてきたといいます。そこで、一旦ファッションからは距離を置く決心をします。
ただ、再就職はせずにしばらく日本各地を旅をする日々が続きました。その旅のなかで、運命の出会いというべきものが起こります。それは石川県で地元の人に見せてもらった九谷焼でした。そのときの衝撃を丸若氏は次のように語ります。「石川県で1655年頃から約40年間という限られた期間につくられていた『古九谷(こくたに)』と呼ばれるものです。抽象的だけどリアリティがあって、古代芸術みたいなパンチがあって……。大袈裟な言い方ですけど、見た時にすべての意識が変わったんです」。
西洋の文化に興味があり、イタリアブランドで仕事をしてきた丸若氏ですが、この衝撃の出会いから、日本の文化、歴史、そして、工芸品への思いが強くなっていきます。

丸若屋を設立して、日本の工芸品や文化を現代へリモデルディングする

日本の文化や歴史、そして焼き物を始めとする工芸品に魅力を感じた丸若氏は、丸若屋という会社を設立。焼き物や工芸品などを自らがデザイン、プロデュースすることを始めます。また、お茶という日本文化も絡めて、工芸品をアピールすることにも尽力しています。

日本の技術と社会を結ぶ、さまざまなプロジェクト


参照:http://maru-waka.com/kaikaikiki/

丸若氏は、多くのプロジェクトに参加しています。例えば、日本茶の茶葉を販売するプロジェクトでは、海外で有田焼などを展示するワークショップをプロデュース。美術品としての道具ではなく「使うため」の道具として多くの器を紹介しています。
また、世界的に人気の高いアーティスト、村上隆氏ともコラボし、秋田県酒蔵ユニット「NEXT5」との日本酒プロジェクトにも参加。日本における磁器の原点となる九州、長崎県波佐見で製作した限定オリジナルボトルをプロデュースしました。

伝統を伝える歯車としての存在


参照:http://maru-waka.com/project_jaime/

日本の伝統工芸品や文化などを現代にプロデュースする丸若氏ですが、自分の立ち位置やアイデンティティーに悩むこともあるそうです。「“自分にはなにもない”というところからスタートしていますから、それこそコンプレックスの塊ですよ(笑)。一流じゃないからこそ、見えるものもあったと思いますけど」と語る丸若氏。さまざまま出会いから、現在では自分があるべき姿が見えてきたと言います。「世の中には“伝統を繋ぐ人”がいて、“伝統を理解する人”がいて、そして“存在自体が伝統”な人がいる。じゃあ自分の役割は何だろうと考えた時に、伝統を伝えて行く為の“歯車”として機能するということが、自分にとってすごく贅沢なことだなと思ったんです」。
この言葉のように丸若氏は、これからも日本の伝統を広く伝えていく稀有な存在として、着実に実績を積み重ねていくことでしょう。

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