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日本のものづくりデザイナー58~プロダクトデザイナー 花澤啓太(はなざわ けいた)

物静かな人柄から紡ぎ出されるアイデア


花澤啓太氏 参照:http://www.naraigoto.jp/specialist/special_0044/index.html

花澤啓太氏は1978年静岡県の生まれです。大学では油絵を専攻して、卒業後には家具メーカーに就職。独立後はグッドデザイン賞を5回受賞するほどの実力派デザイナーです。ただ、決して驕ることなく丁寧に話に耳を傾け、柔らかく紡ぐように言葉を発する物静かな人柄です。今回は「クライアントに寄り添った提案」をしている花澤啓太氏をご紹介します。

家具メーカーへの就職で変化した目指す道


リサイクルする陶器をあえて粗く粉砕し混ぜた花瓶「vase」 参照:https://unknot.co.jp/works/2801/

花澤氏は小さいときからとにかく絵を描くことが好きでした。小学校1年生のときには漫画家を目指していましたが、「漫画家は少し陰湿な感じでモテないと思って、中学で画家志望に転向(笑)」したそうです。
その後は大阪芸大に進学、家具メーカーに就職をしたことがデザイナーの道へ進むきっかけでした。「家具メーカーさんで『企画室』配属になり、デザインってなんだろう?と、考える機会がめぐってきたのがスタートです。油絵や日本画は馴染みはあっても、デザインは未知の世界。就職して立体に関わるようになって、機械で切削したり塗装したり等、製作に携わることがとても楽しくて仕方がありませんでした。絵がなくなった分、ものすごく『モノづくり』に没頭していきました」と語るように、この就職がきっかけとなり次第に自分の目指す道が変化をしていったようです。

さまざまな出逢いを重ねて独立


香川県発の合同展示会「SANUKI ReMIX」のプロジェクトで製作した椅子 参照:https://unknot.co.jp/news/2585/

最初に就職した会社で『モノづくり』に没頭した花澤氏ですが、徐々に作りたいものの方向性が違うことに気づきます。
その時に衝撃を受けたのが、モダンデザインだったと言います。「あるとき衝撃を受けたのが有名なプロダクトデザイナー五十嵐久枝さんのチェスト『TANGO』でした。こんな独創的で魅力的な家具を形にしたメーカーが静岡にあるなんて!と衝撃を受け、すぐに電話しました。すると、デザインの募集はないが製造工はある、と聞いて即応募(笑)。今までの作り方とは180度違うモダンデザインのモノづくりはとても新鮮でした」
そこからはデザイナーと言うよりも、さらに『モノづくり』を追求します。「機械製作ではなく敢えて、カンナやノミを使う会社で働いたり、実直なモノづくりを実践する職人気質の会社で働きました。中でも、iターンした北海道の会社では、価値観が変わるほどの環境の違いや技術に圧倒されました」と、語るように技術面でも充実した仕事に触れてきたことが、現在のデザインにも活かされているのでしょう。
そして、「今までのどの出逢いも印象的で、大切で、ドラマティック」とも語るようにさまざまな出逢いを重ねることにより、成長し、30歳の頃独立を成し遂げます。

日常をつくるプロダクトデザイン


サスティナブルなプランター「crunch」 参照:https://unknot.co.jp/news/2754/

仕事へのこだわりを聞かれると、「特に明確な基準やNGはありません。もしかしたら、自分の中に制限を設けないことがこだわりなのかもしれません。それもありかなと、何でも受け容れることができるタイプなので」と答える花澤氏。どのようなデザインを目指しているのでしょうか。

「好き」や「感覚」は大切


茶器frustumシリーズ 参照:https://unknot.co.jp/news/3084/

「こだわりはない」という花澤氏ですが、自分の「好き」や「感覚」は大切にしていると言います。
「商品企画の段階で面白くなくても、もしかしたら企画の切り口やコンセプトを変えれば面白くなるかもしれないと思っています。僕は、デザイナーというより企画をする人かもしれません。 あ、あとは電車の中吊り広告(笑)。言葉は企画の切り口にしやすいので、コピーで揺れることが多くて、ずっと見てしまいますね」と、語るように、ほかのデザイナーとは少し違った切り口から企画・デザインをするプランナーとしての面も同氏の魅力です。

モノづくり職人とともに「日常の道具」をつくる


グッドデザイン賞2018受賞の神棚「かみさまの線」 参照:https://unknot.co.jp/news/1214/

「プロダクトという言葉には馴染みがないかもしれませんがプロダクト=道具だと思っています」と語る花澤氏。日常にあるものすべてが、プロダクトデザインでできているという考え方です。
日常にある、「なくてはならないもの」をつくることは、大きなやりがいであり、「知りたい」や「何でもやりたい」を叶える道具なのかもしれないとも語る花沢氏。そして、「モノづくりの職人さんと密につながるきっかけ」とも捉えて、これからもさまざまな「モノづくり」を成し遂げていくことでしょう。

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