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タオル?手ぬぐい?
私たちが普段、洗顔や入浴後に何げなく使っているタオル。
体の水気をふくのに使うのは、現代日本の一般家庭では、おそらくフワフワしたタオルが主流のはず。けれど、我らが日本にも、古くから体の水気をぬぐうのに便利な布がありますよね。そう、その名は手ぬぐい。
「あんまり使ったことないし持ってない」という方も多いであろう手ぬぐいですが、手ぬぐいは実は、とんでもなく魅力的なしろものなのです。まさに、日本の手ぬぐいは、実用的で柄の種類は無限で、お洒落な小宇宙のようなもの!
手ぬぐいとは
「ふかふかしたタオルとは違って、サラサラの布だよね」という印象が一般的な手ぬぐいのイメージ。
そう、そのとおりで、手ぬぐいは木綿でできた平織りの布に、多種多様な面白い柄が染め抜かれています。
日本の花の一番人気のピンクの桜の柄、秋を感じさせるトンボの柄、渋い菊の花の柄、愛らしい金魚の柄。四季や自然を表現したユーモアたっぷりの洒脱でちょっと小粋な柄が、ずらりとそろうのが手ぬぐい。日本らしい和風の絵柄で、可愛らしいうさぎやネズミ、虫、花など、本当に小さな宇宙のように、様々なものが手ぬぐいの柄のモチーフになっています。
肝心の使い心地はどんなものでしょう。
あっという間に乾く、速乾の使い勝手のいい布
その速乾性は、湿気の多い日本製ならではでしょうか?洗面化粧台のタオルハンガーに手ぬぐいをかけておいて、ちょっと手を洗って水けを手ぬぐいでぬぐうと、2時間ほどであっという間にパリッと湿気が抜けています。使い心地はさらさらしていて気持ちいいし、赤ちゃんの顔をぬぐうのにもぴったりの柔らかさや優しさも兼ね備えています。タオルはそんなに早く乾きませんし、何度も洗うとすぐにゴワゴワになってしまう。日本の手ぬぐいには、タオルにはない魅力があるのでした。
使い勝手もよくて便利で、小粋な布。手ぬぐいの歴史
手ぬぐいの歴史は日本の織物の歴史と言えます。
日本で織物が作られるようになり、布地ができてくると、奈良時代には仏具や神仏の像を清めるための布(キレイな雑巾のようなイメージでしょうか)として使われたということが分かっているようです。
室町時代には湯浴みの際体をぬぐうのに使われ始め、戦国時代には当たり前に体をぬぐう布として活躍しました。
江戸時代には、贅沢を禁じ、倹約を推し進める奢侈禁止令(しゃしきんしれい)が出されて、絹の布地の衣類などを庶民が着用することが取り締まられました。
綿花の生産が盛んになり、ますます手ぬぐいは手に入りやすく庶民の暮らしに存在感を増します。
そのころのファッションリーダーであった、歌舞伎役者たちも手ぬぐいを大いに活用しました。歌舞伎役者オリジナルの紋様を染め抜き、舞台上の演出に使うなど、ファッショングッズとしても手ぬぐいは流行しました。
現代を生きる我々にも手ぬぐいは魅力的
明治時代になるとタオルが西欧社会から日本に流入し、だんだんと時代遅れとされ、流行からはずれ、廃れていきました。
昭和から現代では、よく商店や企業の粗品として配られたり、歌舞伎界や落語界、歌手などが自分のサインやロゴ、紋様などを染め抜いたものを宣伝やあいさつ代わりに配布したりなどもされるようになりました。
近年では、京都や浅草などのお土産物や、外国のお客様にとっては物珍しい和風の手土産としてギフトにも用いられるようになりました。
百円均一の店でも、可愛らしく粋な柄の手ぬぐいが販売され、百円均一の手ぬぐいをブックカバーや子供の甚平などにリメイクするのも流行ってきています。
いま、静かに、手ぬぐいの人気が復活してきているのです。
手ぬぐいの製法の秘密
手ぬぐいはどのように作られているのでしょう。
日本独特の製品である手ぬぐいは、プリントから染めまでさまざまな製法で作られています。その技術は、手ぬぐいのメーカー・手ぬぐい職人によって様々と言えます。
基本的には、手ぬぐいのデザイナーが洒落ている美しい図案を考案し、そのデザインに沿い、忠実に染色していくという作業のようです。
デザイナーの粋で素敵なデザインの考案もさることながら、日本の伝統技術の染め作業は、まさに匠の技。一枚一枚、複雑で鮮やかな図案を美しく染め抜くには、熟練の染色職人の手が必要なのです。
手作業の「型友禅(かたゆうぜん)」「印染(しるしぞめ)」といった日本の伝統的な染色技術で作られた可愛らしい手ぬぐいは、まさに布地の形をした芸術品のよう。
そんな日本伝統の高い技術で一枚一枚を丁寧に製造していると知れば、小粋な柄の手ぬぐいに、ますます心奪われそうですね。心惹かれる素敵な柄の手ぬぐいを、何枚か集めてコレクションしてみてはどうでしょうか。
手ぬぐいの大人気ショップ
さて、そんな魅力的な手ぬぐいはどこで手に入るのでしょうか。現在、京都や浅草には手ぬぐいの人気メーカーがいくつか店を構えています。
●京都にある、町屋手ぬぐいを扱う「永楽屋」さん 小粋な舞妓さん柄の手ぬぐいなどを多数取り揃えています。
●浅草にある手ぬぐい屋さん「染の安坊」さん 四季折々の日本の景色を手ぬぐいの柄の上に細やかに美しく表現しています。
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