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あなたには愛用の帽子がありますか? はまると手放せない帽子の世界②

世界各国の帽子の歴史をひもといてみよう

帽子にはさまざまな用途や目的があります。

世界各国を見ても、さまざまな立場・身分のひとが帽子を活用してきました。

日本と世界で、いままでどんな風に帽子は使われてきたのでしょうか?今回は帽子の歴史を見てみましょう。

 

 

世界各国の帽子の歴史はとんでもなく古く、紀元前にはすでに帽子の原型があったと言われています!

古代ギリシャには「ぺタソス」というツバのついた帽子のようなものがあったのです。ぺタソスをかぶる目的はやっぱり日差しよけのため。

羊毛フェルト生地や動物の皮革、藁などからつくられたものだったようです。

庶民の日々の暮らしのなか、狩猟や牧畜や農作物の収穫、長距離の移動の際により快適に、という気持ちが日差しよけ帽子の原型のぺタソスをつくりだしたのでしょうね。

ぺタソスの他、キャップのようなものやベレー帽風のものも古代ギリシャには存在していたということです。

ほかにも世界各国の服飾史にあたってみると、王族や貴族・民族の長は王冠や頭飾りを頭にかぶって地位と権力を示すのに使いました。自分をより美しく・より素晴らしい存在に見えるようにファッション性も追求して王冠・頭飾り・帽子を作って着用していたようです。

王族や貴族は、王冠や頭飾りを、権力を示すため・装身の目的でかぶり、庶民は日よけや防寒のため頭巾やぺタソスのような帽子の原型をかぶっていたのですね。

帽子の歴史の中で特筆すべきなのはのちのちのヨーロッパでの発展ぶり。

これが今現在のフランスやイタリアなどのファッションショーから発信される流行ファッションにつながっていくのか、とさえ思える、当時の流行最先端のファッショナブルな帽子は独特です。

ヨーロッパでは、女性が帽子をかぶることが流行する前の、中世のころまで、帽子というものは男性のファッションアイテムとされていました。

16世紀のイギリス・ロンドンにイタリアのミラノからたくさんのリボンやレース・帽子の材料の上質な麦わらなどが輸入されるようになると、ミラノ製のリボンやレースを飾りに使った麦わら帽子やボンネットなど女性用の帽子を作るようになったのです。

女性用帽子を作って売るひとは、ミラノを語源とする「ミリナリー」と呼ばれるようになりました。

18世紀のフランス王妃・マリー・アントワネットの帽子デザイナーもミリナリーと呼ばれる職業だったと言われています。

マリー・アントワネットはツバの広い大きな帽子に、たっぷりの羽飾りやリボン、華やかなコサージュなどをあしらった贅を尽くした帽子をかぶってフランス貴族の前に登場し、当時のファッション流行を牽引するファッションリーダーになったことはよく知られています。

いまでも最先端の流行ファッションは奇抜で変わっていると感じることがありますが、マリー・アントワネットの帽子は18世紀のひとびとにとっては、なんて派手で突飛で斬新な帽子なのだろう、こんなの見たこともない、と大きな話題になったことでしょう!

ニッポンの帽子の歴史をたどると

世界の帽子の歴史をひもといたあとは、日本の帽子の歴史もたどってみましょう。

3世紀~6世紀にかけてつくられていた埴輪(はにわ)も帽子のようなものをかぶったものが出土していて、なんと日本にもかなりの昔から帽子や帽子の原型が存在したことがわかっているのです。

日本でも装身や日差しよけや防寒などなど、ひとびとにさまざまな目的で古くから使われていたのはたしかなようですね。

奈良時代から江戸時代まで用いられた男性のかぶりものである「烏帽子(えぼし)」は、本来は日常用に使われた帽子だったそうですが、平安時代になると絹や麻などの素材の烏帽子が立場・身分の高い人がかぶるものとされました。(身分の低い人は木綿のような素材の烏帽子をかぶったそうです)

鎌倉・室町時代になると、戦争の際には帽子が必ず必要でした。

敵味方の目印にもなりますし、雨や日差しよけとしても便利だったのでしょうね。

兜(かぶと)は地位の高いえらい人がかぶるもので、普通の兵は陣笠(じんがさ)をかぶっていました。

江戸時代が過ぎ、明治時代になると、本格的に欧米文化が日本に流入してきます。服装の洋装化にともない、西洋式の帽子もどんどん普及していきます。

明治4年に出された法令の散髪脱刀令によって散髪し髷を結わない男性が増えたことで、さらに帽子が一般的になっていきます。

西洋式の軍服・軍帽が導入され、警察官には制服・制帽が支給されることになり、世間の人の服装は洋装へ様変わりします。日本も西洋のシルクハットや山高帽などが流行し出したのです。

こうして、日本もさまざまな目的で西洋式の帽子を自由にかぶる文化が根付いて、現代にいたるまで続いているということでした。

考えてみれば、気が遠くなるほどの大昔から、帽子のような頭にかぶるかぶりものは存在していて、形を変え、素材を変え、かざりをつけたりツバを広くしてみたり…人間の有史以来、ものすごい数のバリエーションの帽子が作られてひとびとに活用されてきたのですね。

 

帽子はちょっと奥が深い。そんな印象を持ってしまいます。

次回は現代の帽子職人の仕事について、詳しく帽子制作の製法などについても見ていきます。

 

あなたには愛用の帽子がありますか。はまると手放せない帽子の世界③ に続く

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